身代わり少女は、闇夜の帝王の愛に溺れる。
「ねえ、本当にここで合ってんの?」


「うん。昨日このマンションに入っていくとこを見たからね。間違いないよ」


誰……? 誰かこのあたりを偵察してるのかな?


閑静な住宅街には似つかわしくない不穏な空気が漂う中、私は近くにあった塀の陰に隠れた。


息をひそめて、声が聞こえて来る場所の様子を見ると、私が住むマンションのエントランス前に、3人の女子が仁王立ちしていた。


顔は知らないけど、私と同じ学校の制服を着ている子たちだ。


ということは、他のクラスの子……?


『一葉さんの厄介ファンだよ‼』


カフェで紗奈が渋い顔をして言った忠告がよみがえる。


『特に日和は昨日のこともあって、そういう子たちに目をつけられている可能性が高いからさ。くれぐれも気を付けなよ』


いや、まさかね……?


まだそうとは決まったわけじゃない。


でも、関わりのない他クラスの子たちが、私のマンションを特定して押しかけて来るなんて。


一葉さん絡みじゃなかったら、他に理由ってある……?

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