りんご

未熟な伝え方





それからしばらくして、名前で呼び合う仲になった。




でも、未だには浩基は学校では相変わらず呼んではくれない…。





いま考えると、照れくさかったのかな?とも思うけど。









学校へ行ってもあまり話はしなかった。なかなか話しかける機会がなかったのだ。





そんなある日学校で話すチャンスができた。






ちょうどあたしが教室に入ろうとしたとき、浩基が出てきて、ぶつかったのだ。





浩基はソフトテニス部だったので、細いけど、ガッシリとした体にぶつかり、あたしは押され後ろに倒れそうになった。






「おっ、わりぃ!!」






浩基が慌てた様子であたしに話しかけた。





「いててて…。こっちこそごめん!ボーっとしてた!」






でも、内心ぶつかれたことがうれしかった。
浩基と話せてうれしかった。





「俺もボーっとしてて。ごめん、大丈夫かあ?」







「うんっ!大丈夫だよ★」





これで話し終わるのやだな…。あたしはとっさに話を考えた。






「あっ!そうそう。昨日メールで話したさ、お笑い芸人っ?おもしろかった!」





「あ。見たか!あれはうけるね〜まぢ爆笑もんだし(笑」








あたしが思いついたのは昨日のメールの内容だったけど…




話が盛り上がって、その後10分くらい話した。
< 30 / 62 >

この作品をシェア

pagetop