りんご
未熟な伝え方
それからしばらくして、名前で呼び合う仲になった。
でも、未だには浩基は学校では相変わらず呼んではくれない…。
いま考えると、照れくさかったのかな?とも思うけど。
学校へ行ってもあまり話はしなかった。なかなか話しかける機会がなかったのだ。
そんなある日学校で話すチャンスができた。
ちょうどあたしが教室に入ろうとしたとき、浩基が出てきて、ぶつかったのだ。
浩基はソフトテニス部だったので、細いけど、ガッシリとした体にぶつかり、あたしは押され後ろに倒れそうになった。
「おっ、わりぃ!!」
浩基が慌てた様子であたしに話しかけた。
「いててて…。こっちこそごめん!ボーっとしてた!」
でも、内心ぶつかれたことがうれしかった。
浩基と話せてうれしかった。
「俺もボーっとしてて。ごめん、大丈夫かあ?」
「うんっ!大丈夫だよ★」
これで話し終わるのやだな…。あたしはとっさに話を考えた。
「あっ!そうそう。昨日メールで話したさ、お笑い芸人っ?おもしろかった!」
「あ。見たか!あれはうけるね〜まぢ爆笑もんだし(笑」
あたしが思いついたのは昨日のメールの内容だったけど…
話が盛り上がって、その後10分くらい話した。