婚約者に捨てられた夜、八歳年下の幼馴染みにプロポーズされました。
 みんなに婚約破棄のことで同情されたけれど、健人のおかげで氷堂と対峙した割にダメージがない。
 帰ったら笑顔で迎えてくれるとわかるから、しんどくても大丈夫。

 仕事が終わって片付けをしていると、健人からメッセージが入った。

『迎えに行っていい? ひどいめにあってないか心配』

 なんて心配性な。だめと言っても来てしまいそうだ。
 そういえば子どもの頃から、健人はけっこうな心配症だった。
 私が風邪を引いて熱を出したときは、伝染ったら困るから会いにこないよう言っておいたのに、お見舞いのお菓子を持って何度も会いに来た。
 結局伝染っていたから世話が焼ける。
 
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