婚約者に捨てられた夜、八歳年下の幼馴染みにプロポーズされました。
 会社には数日体調不良で休むと連絡して、実家に帰った。
 すると、隣の家の幼馴染み、高瀬健人が家から出てくるところだった。
 健人のご両親は仕事が忙しい人だから、私はご両親に頼まれて、毎日のように健人のごはんを作っていた。

 うちの親も仕事でいないことが多くて、二人で過ごす時間は癒やしの時間だった。
 私を慕ってくれていて、たぶん健人からは姉みたいに思われている。

「どうしたの、ミオ姉。顔が真っ青。大丈夫? 具合悪いの?」
「あー……うん、そう、かも」

 ほんわかした健人の顔を見たら、張り詰めていた糸が切れて、急に泣けてきた。

「え、ちょ、本当に具合悪いの? 救急車呼ぶ?」
「精神的なもんだから、医者はいらないよ」
「外だとなんだから、うちに入りなよ」

 健人に手を引かれて、久しぶりに高瀬家のリビングにおじゃました。
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