大切な言葉

「ただいま」
誰からも返事がないのは解かっているのに言ってしまう。
今日もお母さんは仕事。お父さんはもう何年も単身赴任で一緒には暮らしてはいない。兄妹はお姉ちゃんが一人いるけど歳が離れていてすでに結婚していて他県で暮らしている。
高校生になってからは家事は私がやってきた。1年間ビッチリやったからなかなかの腕前になってきた。今日は買い物に行かないで帰ってきたから冷蔵庫の中のありあわせのもので食事を作る。

ピンポーン

だれだ
モニターを見るとそこにいたにはクラスの男子だ。
シカトしようかとも思ったけど何か大切な用事があったからワザワザ来たのかもしれないからいちをでてみた。

「はい。」
「あの、笹本さんのクラスメートの横田と言うものですが葵さんはおられますか?」
わたしだと気がついてないのか?
「どんなごようで?」
「あのう・・・」
沈黙・・・・
その時いきなりまったく違うテンションの声が!!!
「あおいーーーーーーー」
あのばか!!!
私は近所迷惑になると思い急いで玄関に向かった。
「千翔!!そんなでかい声で名前よばないでよ」
わたしは玄関を開けるなりドアの前で立っているだろう千翔に向かって言ってやったつもりだったが・・・
目の前に立っていたのは、先ほどのピンポーンのクラスメート。
「はっはっは。今晩は。」
挨拶するのがやっとだった。


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