彼は推しと瓜二つ
◯光之と雅之のマンション室内

雅之「ただいまー…あれ?みつ〜?」

リビングに光之がいない。
台所も何かを食べた形跡がない。

光之の寝室のドアをノックする

雅之「みつ??体調悪いの??」

すぐに返答はない
光之はベッドの枕に突っ伏したまま話し始める

ドア越しで会話する2人

光之「………スーパーに行った……閉店前に行ったけど、30代くらいの女性がいて……やっぱダメだった………」

雅之「そっか……それで…。チャレンジしたい気持ちは分かるけどさ、あんま無理すんなよ。今回は大事にならなくて良かったけど。」

光之「……チャレンジしようと思ったというより、まさが言っていた店員がどんなもんか気になったのもあって…………」

光之は気まずそうに、たどたどしく話す。
雅之は一瞬ポカンとするが、状況を飲み込んで吹き出す。

雅之「いや…マジかよお前…すげーな…。
で、で、で?どうだった?美人だったろ?」

雅之はドア越しでも食い気味に話しかける

光之「…店員の顔なんてちゃんと見る余裕無かったよ………それに失礼な事も言っちゃったし………あんな事、言うつもりなんて無かったのに……」

光之は尻すぼみに声が小さくなっていく

雅之「え?…何て??」

光之「…余裕なくてちゃんと見てないって言ったの!!!」

雅之「お前まさか……お店に行ったからじゃなくて、その店員絡みで落ち込んでるわけ…?」

光之「………。」

光之は何も言い返せない。

雅之「……まじか……。お前、男子中学生かよ。」

光之「……うるさい……」

雅之「まぁ、気にすんな。俺がまた店に行った時に上手く繋げといてやるからさ。」

光之「いや、繋がるなよ!!!!相手はMITSUKIファンだろ!!!!」

光之はベッドに突っ伏していた体を勢いよく起こした

雅之「お前が思ってる様な意味じゃねぇよ。
約束しただろ?大丈夫だって。」

光之「不安だなぁ……けど何か、まさと話してると気持ちが楽になったわ。」

雅之「へへっ。まぁ、俺らは一心同体だしな。」

光之「助かってるよ……ほんと………」

光之(雅之…ごめん………………)

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