彼は推しと瓜二つ
声の主は、あのMITSUKI似の男だった。
深めのバケットハットを被り、マスクをしていたが、体格と雰囲気ですぐに分かった。

MITSUKI似の男は、人気のないコーナーに音を招くと、マスクを下ろした

男「すみません、呼び止めちゃって」
音「いえ……、それで、何をお探しでしょうか?」

音は昨日の事が引っ掛かり、少し距離を置く

男「いや…それはもう大丈夫です。」
音「え……?」

男は照れくさそうに俯く。
音は一瞬、訳が分からなかったが、もしかしてと、恐る恐る聞いてみた。

音「…助けてくださったんですか………?」
男「まぁ……はい。ああいう軟派な奴は第三者から見てもウザかったですし…」

音「とても助かりました。ありがとうございます。」
音は笑顔でお礼をした。

男「前回は俺が助けられたんで!店員さん綺麗だから気をつけた方が良いですよ。」

音は顔が真っ赤になり、俯いて固まってしまう

男「あの…どうしました?」
男は音に近づき、顔を覗こうとする

音「あ、あのそれ以上は……」
音は近寄る男を制止するように後退りしながら両手を胸の前に出した

音「すみません……MITSUKIさんに似ているお客様から、お世辞でもそういった事を言われると………すみません……」

男「え、お世辞って…?」
男はまた音に近づく

音は「だから、それ、やめてください……‼︎」

男「お世辞なんかじゃないですよ?
おれは日頃から仕事でオシャレした女性達を見てますけど、お姉さんは化粧も服もシンプルなのにオーラが出てるし、天然な美人さんです。」

男は真面目に言っている。

音「そ、それは…親に感謝ですかね………」
男「ははっ。そうですね…。俺もこの見た目は親に感謝してます。」

音(そうなんだ……MITSUKIに似てる事は嫌ではないんだ……)
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