彼は推しと瓜二つ
尾形「杉山さん、本当に綺麗ですよね……。
あんなに近くにいたら普通は惚れちゃいますよ!!
私が男なら絶対に惚れてますもん!
優しいし、美人なのにそれをひけらかしてないし、清純派女優なんて絶対にいないと思うけど、杉山さんは正しく清純派って感じですし、それに…」

門倉「……あの、何が言いたいの……?」

尾形「だから、門倉さんも杉山さんが好きですか?って話です。」


門倉(……また、そーゆー話か……。何ですぐコイツらは恋愛に結びつけるんだ。)

門倉「美人だし、優しい人だとは思います。働きやすい環境も作ってくれてますし。
でも、それ以上は特に何もありません。」

尾形「えぇ〜…。
あ、高嶺の花すぎるとか?!!……」
私もイケメンすぎる人とか芸能人にはガチ恋しない派ですし!」

門倉「……そういうわけでは無い
門倉(ガチコイしない派って何だ…??)

尾形「杉山さん、あんなに素敵な人なのに、ドルオタだけで終わっちゃうのも勿体無いですよねー…。
でもこういった仕事してると、なかなか恋愛してる余裕無いのかなぁ。」

門倉(こいつ、また人の価値観を勝手に決めつけて…。お前の基準で考えるなよ……。)

門倉は尾形に苛立ったが、ふと頭によぎった事が口に出てしまった。

門倉「でも、杉山さんは最近になって良い感じの客がいましたよ」

尾形「え!!お客と?!!すごい、誰だろ〜。私も見てみたい!!!」


門倉「尾形さんも知ってる人だろ?だって、その客って……」


言いかけた所で杉山が戻ってきた。
尾形はまたすぐ前を見て、レジ打ちの練習を始める。


門倉(そういえばあの客、最近来てないよな……。
名前なんだったっけ……


あぁ、そうだ、MITSUKIだ。
goalってアイドルのMITSUKI。

あの具合悪くなって休んでた人、そっくりだったけど双子だよな……?

杉山さんは自分が好きなアイドルって事も、あの客が別人って事も気づいて無さそうだったけど……。


まぁ、俺にはどうでも良い事だな。)

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