彼は推しと瓜二つ
音(遠目だけど、格好が同じだけじゃなくて、体格もほとんど変わらないような…。
MITSUKIくんを生で見たのはコンサートや握手会の時くらいだけど、サンダルを履いてても公式の身長177㎝くらいはあるように思う。)
音「え、まさか本人……?いや、でも…」
音は周りに聞こえない様に小さく呟く。
音(MITSUKIくんは現在進行形で、SNSのライブ配信真っ最中。
あれから突然終わったとしても、10分も経たずに来れるわけがない。兄弟がいる話も聞いた事がないし……)
あまり見過ぎたら気付かれてしまうと我に返った音は、目の前の仕事に集中する。
夕飯時も過ぎてすっかり客足が遠のき、レジ担当のアルバイトスタッフは暇そうに、ダラダラとレジ内の整理をしている。
彼は門倉 重(かどくら しげる)という専門学生2年のアルバイトスタッフ。
1年生の頃から働いているが、覇気が無く周りともあまり打ち解けない。
レジ打ちが早く丁寧な事がとりえである。
大学生の男女3人グループが来店してくる
派手めなメイクや格好をした、いわゆるパリピと言える人達
学生グループの中の1人は、店内にいる1人の男性客に目がいく。
学生A「え、ねぇ、ちょっと!!あれMITSUKIじゃない?!!この前ネットで同じ格好の画像見たんだけど!!」
学生Aは、興奮して隣にいた友人の体をバシバシ叩く
友人達も始めは疑うが、男を見た途端に目を見開いた。
学生B「やば…私もその画像見たけど、まじであれMITSUKIじゃん!」
学生C「すげぇ、今周りに誰もいないし、ちょっと声かけに行こ!」
学生達は興奮する気持ちを抑えながら、ゆっくりと男性客の方へ近づいた
音は学生達が男に絡みに行こうとしているのを見て、慌ててカウンターの外に出て、学生達の方へと向かう
学生達が何をしたいか、音にはすぐ察しがついた。
門倉は全く気付いた様子も無く、相変わらずタラタラとレジの整理をしている
学生B「すいませーん、goalのMITSUKIさんですよね??」
学生達は男性客を囲む様に近づき、男性は気配に全く気付かなかったため、一瞬の事に驚いた
男性客「え、いや……違います…」
男は誰とも目を合わさないように下を向き、ボソボソとした声で呟く
学生A「えー?でもその服着た写真を前にネットで見たんですけどぉ…」
男性客は下を向いたまま、どうやってこの場を逃れようか悩んでいる。
すると後ろから颯爽とした足音が聞こえてきて、近くまで来るとその足音はピタッと止まった。
音「お客様、大変失礼ですが、他のお客様のご迷惑となってしまうので、店内ではお静かにお願いいたします。」
音は相手を刺激しない様に淡々と、含みを持たないトーンで伝える
学生C「いや、他に客なんていねーじゃん。」
辺りを見回りして、学生たちは嘲笑った
音は気にする事なく、営業スマイルで話を続ける
音「お客様、私もgoalの事は好きでよくSNSもチェックしていますが、彼らは今ライブ配信を行っている最中ですので、そちらのお客様はMITSUKIさんとは別の方かと…」
学生達は音の話を聞き、半信半疑で各々のスマホを取り出し、SNSをチェックする
学生A「…ほんとだ……goalのメンバーみんな出てる…」
学生達は互いに目を合わせ、気まずそうにスマホの画面を消す
学生C「なんか…すみません…した……」
学生B「…紛らわしい格好してんじゃねぇよ……」
吐き捨てるように呟くと、男性客の方を見る事なく学生達はそそくさとお店の外へと出ていった
MITSUKIくんを生で見たのはコンサートや握手会の時くらいだけど、サンダルを履いてても公式の身長177㎝くらいはあるように思う。)
音「え、まさか本人……?いや、でも…」
音は周りに聞こえない様に小さく呟く。
音(MITSUKIくんは現在進行形で、SNSのライブ配信真っ最中。
あれから突然終わったとしても、10分も経たずに来れるわけがない。兄弟がいる話も聞いた事がないし……)
あまり見過ぎたら気付かれてしまうと我に返った音は、目の前の仕事に集中する。
夕飯時も過ぎてすっかり客足が遠のき、レジ担当のアルバイトスタッフは暇そうに、ダラダラとレジ内の整理をしている。
彼は門倉 重(かどくら しげる)という専門学生2年のアルバイトスタッフ。
1年生の頃から働いているが、覇気が無く周りともあまり打ち解けない。
レジ打ちが早く丁寧な事がとりえである。
大学生の男女3人グループが来店してくる
派手めなメイクや格好をした、いわゆるパリピと言える人達
学生グループの中の1人は、店内にいる1人の男性客に目がいく。
学生A「え、ねぇ、ちょっと!!あれMITSUKIじゃない?!!この前ネットで同じ格好の画像見たんだけど!!」
学生Aは、興奮して隣にいた友人の体をバシバシ叩く
友人達も始めは疑うが、男を見た途端に目を見開いた。
学生B「やば…私もその画像見たけど、まじであれMITSUKIじゃん!」
学生C「すげぇ、今周りに誰もいないし、ちょっと声かけに行こ!」
学生達は興奮する気持ちを抑えながら、ゆっくりと男性客の方へ近づいた
音は学生達が男に絡みに行こうとしているのを見て、慌ててカウンターの外に出て、学生達の方へと向かう
学生達が何をしたいか、音にはすぐ察しがついた。
門倉は全く気付いた様子も無く、相変わらずタラタラとレジの整理をしている
学生B「すいませーん、goalのMITSUKIさんですよね??」
学生達は男性客を囲む様に近づき、男性は気配に全く気付かなかったため、一瞬の事に驚いた
男性客「え、いや……違います…」
男は誰とも目を合わさないように下を向き、ボソボソとした声で呟く
学生A「えー?でもその服着た写真を前にネットで見たんですけどぉ…」
男性客は下を向いたまま、どうやってこの場を逃れようか悩んでいる。
すると後ろから颯爽とした足音が聞こえてきて、近くまで来るとその足音はピタッと止まった。
音「お客様、大変失礼ですが、他のお客様のご迷惑となってしまうので、店内ではお静かにお願いいたします。」
音は相手を刺激しない様に淡々と、含みを持たないトーンで伝える
学生C「いや、他に客なんていねーじゃん。」
辺りを見回りして、学生たちは嘲笑った
音は気にする事なく、営業スマイルで話を続ける
音「お客様、私もgoalの事は好きでよくSNSもチェックしていますが、彼らは今ライブ配信を行っている最中ですので、そちらのお客様はMITSUKIさんとは別の方かと…」
学生達は音の話を聞き、半信半疑で各々のスマホを取り出し、SNSをチェックする
学生A「…ほんとだ……goalのメンバーみんな出てる…」
学生達は互いに目を合わせ、気まずそうにスマホの画面を消す
学生C「なんか…すみません…した……」
学生B「…紛らわしい格好してんじゃねぇよ……」
吐き捨てるように呟くと、男性客の方を見る事なく学生達はそそくさとお店の外へと出ていった