彼は推しと瓜二つ
◯夜。2人のマンションの室内。
部屋の中は元々物が少ないのもあり、だいぶ片付いている。

雅之「……よし、予定通り配信も始まったし、アリバイOK〜♪」

雅之はスマホで配信を確認してから、外出時用の色付きサングラスをかけ、パーカーのフードを深めに被り、
浮かれながら部屋の外へと出ていく


◯スーパーの売り場

雅之(おぉ〜、特売じゃないのに安い!
東京って向こうと物価が変わらないイメージだったけど、物によっては安いよな……円安のせいでそう感じるのか?)


雅之は商品をじっくりと見てまわり、周囲に目がいかなくなっていた

雅之(やばっ。ずっとネットスーパーだったから、久々にお店に来たら楽しいんだけど。
何かすぐ食べれそうなやつ買いたいけど、どれにしようかなぁ…)

どれを買うか迷っていると、人が近づいてくる


女1「すいませーん、goalのMITSUKIさんですよね??」

雅之「え、いや……違います…」
(やべぇ、全然気づかなかった……でも、そんなに分かりやすかったかな?)


女2「えー?でもその服着た写真を前にネットで見たんですけどぉ…」


雅之(え?服…?これ光之がよく着てる服だけど…写真なんて撮られてたか?
っていうか、この場をどう凌ぐかなぁ…
このまま白を切っても良いけど、雰囲気的にコイツらしつこそうだし…)

雅之が悩んでいると、どこからか足音が聞こえてくる。近くまで来るとその足音はピタッと止まった。


?「お客様、大変失礼ですが、他のお客様のご迷惑となってしまうので、店内ではお静かにお願いいたします。」

雅之(ん?店員さんか。)

店員は相手を刺激しない様な、落ち着いた声だった。


 店員「お客様、私もgoalの事は好きでよくSNSもチェックしていますが、彼らは今ライブ配信を行っている最中ですので、そちらのお客様はMITSUKIさんとは別の方かと…」


雅之(この店員さん、goalがライブ配信中なの知ってたんだ…助かった……)

 雅之を囲んだ客達は、ライブ配信中と知ると、気まずそうに離れて行く
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