彼は推しと瓜二つ
話し合いを終えて、音は帰る準備をする。


白川「では、帰りも自宅までお送りしますので。」


音(遠慮したい所ではあるけど、帰り道に私が誰かに言いふらす可能性も危惧しての事だろうし、ここは素直に従うか…)
「はい。ありがとうございます。」

音が皆に挨拶をすると、
雅之はにこやかに手を振るが、光之は何かを考え込んでいる様子。

部屋を出て白川の後ろに付いて歩き始めると、後ろからドアを締める音が聞こえる


光之「…あの、ちょっと良いですか?」

音「えっ、私……?」
(この人は、光之さんの方だよね……)


光之「はい。あの、さっき、もう帰る必要が無いって……あれ、どう言う意味ですか?」


光之の様子を心配した雅之が、ドアを少し開けて中から覗いてる。

音「あぁ……いえ、別に大した事ではないんですが…
私は小さい時に両親が離婚して、母もすぐに亡くなり、母方の祖父母に育てられたんです。
でも私が学生の時に祖父が亡くなって、祖母は叔父家族と北見で暮らす事になり、今は小樽の家には誰もいないので……。」

光之「……そうだったんですか……すみません、個人的な事を聞いちゃって…。
僕も、帰国してから札幌に住んでいた事があるので、地元が小樽って聞いて、なんか気になってしまって…。」


音「いえ!
…MITSUKIさんが札幌にいた時、私はもう東京に来てると思いますが、北海道に縁があると知って何かちょっと嬉しかったです。

…あ、すみません、では失礼します。」

音は軽く挨拶をしてから、小走りで白川の後を追う。
白川はだいぶ先に行き、気付いていない様子。

雅之「……おい。みつ、早く部屋に戻れ。」


光之「あ、あぁ…ごめん。」


雅之「…どした?ぼけっとして。」

光之「いや……前に雅之が言ってた事、本当だなって思っただけ。」


雅之「……あ、お前まさか……?」

光之「やめろ。皆まで言うな。」


高橋「………お前ら、分かっていると思うけど、もうあの店に行こうなんて思うなよ?特に雅之!」

雅之「は、はい!」


高橋「光之も、今みたいに勝手な行動は慎め。」


光之「……すみません。」


高橋「杉山さんは確かに美人で誠実そうではあったけど、あくまでMITSUKIファンの1人にすぎないし、今はまだ注意しておかないといけない人なんだから。」


雅之・光之「…分かってます……」
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