彼は推しと瓜二つ
本心
音「え?…何でそう思ったの?」
(かなえは、私がモデルに未練があるってずっと思ってたのかな…)

かなえ「音の家庭環境が複雑なのは聞いてたし、家族から反対されたのかなって。
就活が上手くいかなかったのも、モデルに未練があったから身が入らなかったんでしょ?
じゃなきゃ音みたいな人が落ち続けるわけないもん。」


音「最後のは買いかぶりだけど、ほとんど合ってるかな…。就活の時からほとんど話してなかったのに、よく分かったね。」

かなえ「音の事は誰よりもよく見てたつもりだよ?
あの時も本当の事を教えてくれてたら、うちらもすれ違って無かったかもね。」


音「ごめんね…。
あの時は前向きにモデル目指して頑張ってるかなえを見てたら自分がすごく情けなくなって、家のせいにして同情を誘うような事はしたくなかったの。」

かなえ「そうだったんだ…。
でも今日は久々に会って、音の本心がやっと聞けたのが嬉しい。

……ねぇ、他にも私に隠してる事はない?」

かなえは前のめりになり、真剣な眼差しで音を見つめる


音「他にも…?えー…?特に無いかなぁ…。
スーパーの店員でアイドルオタクで…
あ、恋人も良い感じの人もいないのは本当だけど……。」


かなえ「………そっか。これからはさ、うちらの中で隠し事はもう無しだからね?」

かなえは姿勢を戻して笑顔を見せる


音「うん…!そうだね。」


その後は他愛もない話をし、互いに飲み終えると、かなえはスマホを確認する


かなえ「じゃあ、そろそろ帰ろっか。」


音は頷き、帰り支度をしてお店を出る


◯お店の前

かなえ「今日は急な誘いだったのに来てくれてありがとね!じゃあね〜!」


音「こちらこそ今日はありがと!じゃあ、また!」


音はかなえに手を振ってから、背を向けて駅の方へと向かう



音が背を向けると、かなえは笑顔から急に真顔になる

かなえ「……“また”なんて無いけどね。」


かなえはスマホを取り出し、電話をかける


かなえ「もしもし?お疲れ様です。さきほど杉山音と別れました。
約束通り、私の配信動画にKEIさんが出てくれるんですよね?白川さん。」

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