シンデレラはちょっとばかしギャグに包まれている
「ついに花の結婚式の招待状きたぞ!」
「うっそ!いつ!?」
「豚の花嫁か、笑える。」
「美味しいもの食べられる?」
氏家 家に届いた白くて厚みのある式の招待状が届いて大騒ぎする家族達。
「えーっと……は!?来週!??」
「どういうこと?普通そんな急なお式なんて聞いたことないわよ?ましてこっちは親族よ?」
「そんな事聞かれても、俺にはさっぱり……。でも会場も桜小路グループが所持する一番でかい5つ星ホテルだぞ?」
「何でもいいわよ、ママ!エステの予約とドレス買いに行かないと!」
「そうね!?そこで桜小路グループより劣っても大企業の役職は沢山来るでしょ!長女ちゃんが見初められる為にも!良いの買わなきゃ!」
「ねぇ!美味しいもの食べられるの!?」
結婚式の招待状が届いて、日程が来週なんて聞いたことがないだろう。
でもそれは氏家 家に限ったことではない。
桜小路グループと競う大企業のトップ達、足元にも及ばない中小企業の会社も平等に同じ時期に招待状が郵送された。
何故かって?
理由は簡単。
「もう早く花が妻って皆に言いたい。今すぐ言いたい、もう待てないから最短で会場予約してきていいか?あ、あと当然オートクチュールだから職人に大金積んで寝ないで作ってもらお?あぁもう花の綺麗な花嫁姿早く見たい。」
だ、そうで。
レジェンドクラスの桜小路グループの言うことはぜったぁぁい!の権力者である桜小路のご子息の結婚式の欠席など先ずあり得ない。
どんなに非常識でも欠席なんてした次の日には、中小企業の会社など次の日には地獄の始まり、おめぇの机ねぇからと木っ端微塵だろう。
蒼真さんは初めて私との初夜を迎えてから、だんだんと頭のお花畑が一面広がるラベンダー畑のような、畑がもはやヘクタール単位で表しそうな溺愛っぷりに「甥ながら引くわ。」と、そう太さんの眼鏡を曇らせていた。
最短中の最短、私達には一ヶ月後。
参加者達は来週という異様な結婚式を控え、そして迎えた当日。
「緊張してる?」
「緊張しない人間がいるなら是非とも私にご教示してもらいたいね。」
「あぁ…もうその台詞だけで私の中で絶頂してしまいそうだ。花が着ているその白いウェディングドレスを捲り上げて、むさぼりつきたい。」
「……性欲暴走列車。」
「そんな褒め言葉は私と二人だけの時に言ってくれないか。今すぐこの場で下衣を降ろしてしまいそうになる。」
「ちょ!ベルト緩めるな!」
「ハハッ。この挙式が終わったらあの家族の筋肉がひきつる顔を観るのが楽しみだ。今日であの会社と繋がっていた元請けは全て内密に破棄していった。
氏家会社の破滅の始まりだよ。生きながらの絶望を存分に味わえばいいのだ。」
「時間です。」
「さぁ行こう。」