Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
Interlude Judgment
「協力?」

女は目の前で戸惑う男を見つめ、「そうよ」と頷きながら笑う。しかしその表情とは裏腹に、心の裏側には怒りの炎が燃え上がっていた。数日前に街で見かけた公開に女の過去の忘れたいほどの記憶が蘇る。

あれは高校生の頃だった。女はクラスの女子グループを中心にいじめを受けていた。悪口や物を隠されるのはまだ可愛い方だ。女が最も屈辱を受けたのは、教卓の前で羽交い締めをされている時だ。

「今からこのダサ女のパンツを晒しま〜す。今日はどんな汚いパンツを履いているんでしょうか〜?皆さん予想してくださ〜い!」

いじめの主犯格の女がクラス中に聞こえる大声で言い、その取り巻きたちが女を羽交い締めにする。クラスの人間は「白!」「黒!」など女の履いている下着の色を言っていく。嫌だ。嫌だ。女の目に涙が浮かぶ。

「シンキングタイム終了〜!今からスカートを脱がせま〜す!」

スカートのホックが外され、スカートが教室の床に落ちる。その瞬間に上がる笑いと騒ぐ声。女の頰を涙が伝う。しかしその涙を拭うことは拘束されているせいでできない。

そのいじめのせいで女の人生は狂った。人を信じられなくなり、大人になっても人間不信は続いた。仕事以外で人と関わることはできず、幼い頃夢見た結婚することも叶わなかった。
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