Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「風歌!?」
大きな声が響く。それはアノニマスから発せられたものだった。彼女はワンピースの胸元を強く掴み、酷く動揺している。
「お知り合いなんですか?」
蓮と警察官が驚いたようにアノニマスに訊ねる。しかし彼女はそれに答えることはなく、ただ地面を見つめていた。
派手で目立ってしまう使用人の制服は脱ぎ、風歌は動きやすく目立たないブラウスとデニムパンツに着替えて人通りの少ない裏路地を走って行く。その手には庄之助の家から盗んだ宝石の入ったショルダーバッグがある。そのバッグの重みに彼女は安堵していた。あの男から宝石を奪ったと実感する。
「早く、あの人に届けなくちゃ!」
自分はどうなっても構わない。しかし、警察に逮捕されて宝石を奪われてはならないのだ。彼女はスマホを取り出し、メッセージアプリを開く。メッセージが届いていた。
『ここまで届けに来て。ここまで来てくれたらあとはこっちでする』
その文面が頼もしく感じた。風歌は泣いてしまいそうになる。自分がしていることは決して許されない。しかし、大切な人を救う方法はもうこれしか残されていない。
大きな声が響く。それはアノニマスから発せられたものだった。彼女はワンピースの胸元を強く掴み、酷く動揺している。
「お知り合いなんですか?」
蓮と警察官が驚いたようにアノニマスに訊ねる。しかし彼女はそれに答えることはなく、ただ地面を見つめていた。
派手で目立ってしまう使用人の制服は脱ぎ、風歌は動きやすく目立たないブラウスとデニムパンツに着替えて人通りの少ない裏路地を走って行く。その手には庄之助の家から盗んだ宝石の入ったショルダーバッグがある。そのバッグの重みに彼女は安堵していた。あの男から宝石を奪ったと実感する。
「早く、あの人に届けなくちゃ!」
自分はどうなっても構わない。しかし、警察に逮捕されて宝石を奪われてはならないのだ。彼女はスマホを取り出し、メッセージアプリを開く。メッセージが届いていた。
『ここまで届けに来て。ここまで来てくれたらあとはこっちでする』
その文面が頼もしく感じた。風歌は泣いてしまいそうになる。自分がしていることは決して許されない。しかし、大切な人を救う方法はもうこれしか残されていない。