Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「あ、ああ……」

驚いた様子で庄之助が画面を見る。美しいピンクに輝くその宝石に、蓮が「わぁ〜」と声を上げた。ダイヤモンドというと無色透明なイメージが強いため、紫月も画面を見てしまう。実物ならばもっと美しいのだろう。

「ピンクダイヤモンドって希少性が高いから、無色のダイヤモンドより価値が高いんでしょ?最高級のピンクダイヤモンドなら約83億9800万円するらしいし」

「えっ、そんなに!?」

真夜の説明に蓮が大袈裟と思えるほど口を大きく開け、驚く。紫月も顔には出さなかったものの、心の中では驚きに満ちていた。風歌はその価値をわかっていて盗んだのだろうか。

「俺の持っているピンクダイヤモンドは、その最高級と同じくらいの価値があると言われているんだ……。頼むから早く犯人を捕まえてダイヤを取り返してくれ!!」

悔しげに庄之助は手足をバタつかせ、泣き出しそうな顔を見せる。紫月と蓮は頷いて「もちろんです」と返そうとした。その時である。ドアが勢いよく開いた。

「大丈夫か!?梶井!!」
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