Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
紫月と蓮の視線に気付いたのか、文雄がこちらを向いた。文雄は掛けている眼鏡を掛け直し、近付いてきた。紫月と蓮は慌てて姿勢を正す。

「君たちは警視庁の捜査一課が所属じゃなかったかな?」

「いえ、今は捜査一課じゃなくて未解決捜査課です」

紫月が答えるよりも早く蓮が言った。文雄は一瞬眉を顰めたものの、「まあいい」と頷いた。文雄の目は少し落ち着きを取り戻した庄之助を見る。

「今は緊急事態だ。一刻も早く犯人を逮捕しなくてはならない。共に容疑者を探してほしい」

「はい!」

紫月と蓮は大きな声で返事をし、頭を下げる。それを見ている真夜は嫌悪感を隠すことなく現し、部屋に入らず外から様子を見ていたアノニマスは強く拳を握り締めていた。



紫月と蓮、そしてアノニマスは顔を変えた風歌の写真を片手に一人ずつ聞き込みをすることにした。それと同時に真夜が街中にある防犯カメラをハッキングし、容疑者を探す。

「……そうですか。ありがとうございます」
< 153 / 306 >

この作品をシェア

pagetop