Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
真夜の言葉に男性は小馬鹿にしたように笑う。サングラスのせいで顔ははっきりと見えないものの、真夜をどこか見下しているのが雰囲気でわかった。

「さすがは十八歳のお子様だ。何もわかっちゃいない。私は彼女の容姿を話したわけじゃない。私が美しいと感じたのは彼女の心の方だ。自分の人生を捧げてまで彼女は目的を成し遂げようとする。その決意に私は彼女に協力することを決めたのさ」

真夜は目の前の男を上から下まで値踏みするように眺める。身に付けているサングラスと腕時計はブランド物。それに引けを取らないように着ているシャツなどもブランド物だ。とても目立っている。犯罪の協力をしているのは誰も思わない。だが、その「ありえない」状況で実行するのが犯罪者だ。

「そこまで言うなら教えてよ。暁風歌の目的ってやつを。あとおじさんの名前」

「私の名前はウィリアム。ウィリアム・ドイルだ」

真夜の目の前に座り、ウィリアムはサングラスを外して微笑んだ。






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