Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「芥川さん、顔を上げてください」
「そうですよ!芥川さんが強く言っていたら、飛ばされていたのは芥川さんだったかもしれないんですよ」
紫月と蓮は修二に慌てて声をかける。警視庁に入ったばかりのところで元上司が元部下に頭を下げているため、ジロジロと視線が突き刺さっていた。
「本当に二人には悪いと思っている。今度奢らせてくれ。……まあ、それで足りるほどのことではないが」
「そのお気持ちだけで充分ですよ。……夏目、行くぞ」
「はい。芥川さん、ありがとうございました」
紫月と蓮は修二に背を向けて歩き出す。修二は捜査一課のエースであり、新人だった紫月に捜査のイロハを教えてくれた人物だ。傷付けられた被害者に心から寄り添い、悪を強く憎む。そんな刑事の鑑のような修二を紫月は尊敬している。
そんな修二と共に捜査一課で事件と向き合っていけると紫月は信じていた。しかし、今日から紫月と蓮は部署が変わる。
「ここですね」
蓮がドアの前で足を止め、ゴクリと喉を鳴らす。ドアの前には「未解決事件捜査課」と手書きで書かれた紙が貼り付けてあった。
「そうですよ!芥川さんが強く言っていたら、飛ばされていたのは芥川さんだったかもしれないんですよ」
紫月と蓮は修二に慌てて声をかける。警視庁に入ったばかりのところで元上司が元部下に頭を下げているため、ジロジロと視線が突き刺さっていた。
「本当に二人には悪いと思っている。今度奢らせてくれ。……まあ、それで足りるほどのことではないが」
「そのお気持ちだけで充分ですよ。……夏目、行くぞ」
「はい。芥川さん、ありがとうございました」
紫月と蓮は修二に背を向けて歩き出す。修二は捜査一課のエースであり、新人だった紫月に捜査のイロハを教えてくれた人物だ。傷付けられた被害者に心から寄り添い、悪を強く憎む。そんな刑事の鑑のような修二を紫月は尊敬している。
そんな修二と共に捜査一課で事件と向き合っていけると紫月は信じていた。しかし、今日から紫月と蓮は部署が変わる。
「ここですね」
蓮がドアの前で足を止め、ゴクリと喉を鳴らす。ドアの前には「未解決事件捜査課」と手書きで書かれた紙が貼り付けてあった。