Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
アノニマスの返事も待たずに紫月は電話を切る。心臓がただバクバクとうるさかった。頭の中ではアノニマスの涙を想像してしまった。暁風歌が命を失った時、彼女の流した涙は宝石よりも美しく見えた。

(来てくれるといいが……)

人の慰め方がよくわからない。女性の扱いが慣れていないのは事実だ。こういう場面でうまく慰めることができそうな人物を頭に浮かべて紫月は顔を顰める。頭に真っ先に浮かんだのは、修二でも蓮でもなく、優我だった。

「ん?」

スマホにメッセージが送られてきていた。真夜からだ。そのメッセージを見て紫月は目を見開く。

『暁風歌の協力者が太宰さんに会いたいってさ』

すぐに紫月は返信した。











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