Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

チグリジア「私を愛して」

スミレ「愛」「貞節」

スイートピー「優しい思い出」「永遠の喜び」

ブルースター「幸福な愛」

ストック「愛情の絆」「求愛」「永遠の美」

マーガレット「心に秘めた愛」「私を忘れないで」

フランネルフラワー「いつも愛して」

小説に散りばめられた告白に紫月は驚く。しかしそれと同時に、胸に秘めた想いはどれだけ苦しかっただろうかと考えてしまった。

「同性愛にはまだまだカミングアウトに勇気がいるものです。差別も残っている。そんな中、桜町さんに想いを伝えるのが風歌さんは怖かった。だから小説に想いを閉じ込めたんです。恋の苦しみも、恋の喜びも……」

ウィリアムはそう言い、席を立ち上がる。ぼんやりしそうになった紫月は慌ててその背中に声をかけた。

「待て。まだ暁のペンネームの花言葉を教えてもらってないぞ」

「それはご自分で調べてみてください。自分で調べた方が覚えられるものですよ」