Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「早速ですが、太陽くんについて教えてください。太陽くんは自閉症スペクトラムだったそうですね。いつわかったんですか?」

「あの子が自閉症だって診断されたのは一歳半の頃です。言葉を話せなくて、抱っこも嫌がって、おかしいなと思っていたら自閉症だって言われました」

成美は答えながらその瞳から涙を溢していた。匠も目元を押さえている。ただ一人、雨だけが冷めた目で両親のことを見ていた。

「あの子は自閉症で普通の子とは違ったけど、私たちにとっては天使そのものでした。本当に可愛い息子だったんです」

「刑事さん、この写真見てください。可愛いでしょ?太陽は俺たちの宝物だったんです。それなのに殺されるなんて……!」

目を血走らせた匠がスマホを取り出し、写真を見せる。そこには小学生ほどの太陽が眠っている写真があった。紫月は「可愛いですね」と感想を一言言った後、続ける。

「太陽くんの遺体は何らかのアレルギー反応がありました。太陽くんにアレルギーはありますか?」
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