Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
『教師が不法侵入と殺人!日本は終了しました⭐︎』

『殺されたのは可哀想だけど、被害者も被害者じゃね?被害者も不法侵入してんじゃん。殺されても文句言えないよ』

『↑のコメント書いた人へ。記事読んだ?自閉症だったんなら、不法侵入とか本人に自覚ないでしょ。家族がしっかり太陽くんを見張ってればこんなことにはならなかったんだよ』

『教師が廃工場で実験とかマッドサイエンティスト感ありすぎてヤバw』

荒れたコメントを紫月は目を通していた。画面の向こうにいる一般市民にとって、この事件は単なる暇つぶしと変わらない。彼らにとっては見知らぬ少年が教師の男に殺されただけなのだ。

ネットのコメントを見ている時、雨から電話がかかってきた。両親と共に犯人が自主したという警察の会見を見たらしい。

『これで太陽は天国へ行けると両親は喜んでいました』

そう話す彼女の声に感情は変わらずなく、淡々としていた。それと同時にどこか疲れ切っているようにも思えた。

「与謝野さん、大丈夫ですか?声が疲れているように思えます」
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