Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「芥川さん、もちろんです!」

紫月は頷くと、手に持っていた封筒を政典たちに見えるように掲げる。それを見て政典は顔を真っ青にする。その反応を見届けてから、紫月は口を開いた。

「これが、お前が真犯人を庇っている証拠だ!!」

封筒の中に入っているのは、堀内政典の自宅にあった服と江戸川学のクリーニングに出した制服の血液反応を調べたものだった。それを見て修二の目が見開かれる。

「人間は頭に怪我を負うとその出血量は多いです。当然返り血が犯人には付着する。ご存知の通り、血液はどれだけ綺麗に洗い流したと思っても警察の科学捜査では何万倍に薄めても反応が出てしまいます」

政典の衣服からは血液の反応はどの服からも見つからなかった。しかし、学の制服からは血液の反応がはっきりと現れている。

「DNA検査をしたところ、江戸川学の制服についていた血痕は太陽くんのものだとわかりました」

それは政典が犯人ではないという決定的な証拠である。政典はその場に崩れ落ちた。
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