Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
時刻は数時間前に遡る。赤いリボンのついた白いブラウスに白いレースのついた青いミニ丈のスカートを履き、赤いヘッドドレスをつけたツインテールのブラウンのウィッグを被ったアノニマスは中学校を訪れていた。アノニマスの隣には蓮がいる。
「泉さん!江戸川学という生徒が犯人だという根拠はあるんですか?」
「もちろんあります。彼の制服を押収してルミノール反応を調べればわかるかと」
「ですが、制服の押収には裁判所が発行する書類がないとダメで……」
「殺害を自白させればいいんです。そうすれば捜査できますよ」
堂々とアノニマスは胸を張って言い、蓮は少し戸惑った様子でついてくる。職員室に向かうとアノニマスは江戸川学を呼び出すように教員に頼んだ。最初は教員は渋った様子を見せたが、蓮が警察手帳を見せて校内放送が鳴り響く。
「な、何の用ですか?」
職員室の隣にある会議室に姿を見せた学は、文化部に所属している割には体付きが良く、肌も日焼けしていた。そんな彼はどこか怯えた目をしており、アノニマスたちと目を合わせようとしなかった。