Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
こうして、この事件の真実は闇に葬り去られることはなく、光の元へ引き摺り出された。



紫月がアノニマスと蓮が学から自白を聞き出したことを告げると、政典はその場で泣き崩れた。優我と智也は信じられないと言いたげな表情で黙り込んでいる。そんな中、修二が口を開いた。

「太宰、よくやった。こちらでも調べてみよう」

「はい。よろしくお願いします」

紫月は修二に頭を下げた後、背を向けて歩き出す。政典が起訴される前に真実に辿り着くことができた。そのことに安堵していると、スマホが振動する。アノニマスから電話がかかってきていた。

「アノニマス、ありがとう。おかげで事件は正しく解決したよ」

『それはよかった、と言いたいところだがまだ大きな仕事が一つ残っている』

「仕事?」

『爆弾を起爆させるのさ』

電話の向こうでアノニマスが不敵に笑う姿を紫月は想像した。
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