Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

爆発

紫月とアノニマスは与謝野家を訪れていた。目的は事件の真実を話すためである。

「真実がわかったってどういうことですか！？」

「太陽を殺したのはあの教師の男じゃないんですか！？」

家に入るなり、成美と匠は二人に詰め寄った。雨だけが無表情で黙ったままこちらを見ている。紫月は「落ち着いてください」と二人に言った。

「今から説明しますので……」

そして紫月が真実を話し終わると、成美が声を上げて泣き始める。匠も目元を覆って鼻を啜った。

「私の可愛い天使ちゃん……。可哀想に」

「神様は意地悪だ。可愛い息子を奪って行くなんて」

リビングの中に悲しみに満ちた声が響く。そんな中、アノニマスは無表情の雨を見つめた。そして口を開く。

「雨さん、あんたはこれでいいのか？」

「えっ？」

突然話しかけられたことに雨は驚いた様子だった。アノニマスは冷めた目で泣き続ける成美たちを見る。

「あの二人、大切な息子を奪われた悲劇の親を演じているぞ。これでいいと本当に思っているのか？伝えたいことはきちんと言葉にしないと伝わらないんだ。特にこんな馬鹿にはな」