Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
アノニマスの言葉に雨の瞳が見開かれる。刹那、無表情だった彼女に感情が宿った。その目に宿している感情の名前はーーー怒りである。

「お前らうっせぇよ!!太陽の面倒何一つ見て来なかった人間が泣くなんてキモいんだよ!!」

雨は両親を怒鳴り付けた。刹那、雨の頰を成美が引っ叩く。雨は地面に倒れた。紫月は慌てて「大丈夫ですか!」と駆け寄る。成美は顔を真っ赤にしていた。

「面倒を見なかったって何よ!!誰のお金で暮らしていたと思っているの!?あんたが学校に行っている間、私とお父さんが稼いでいたから生きてこれたんでしょう!!」

「そうだ。お前は姉だ。弟の面倒を見るのは当然の義務なんだ。お前の仕事なんだ!!」

雨は打たれた頰を押さえているものの、両親に対する怯えは一切感じられなかった。二人を睨み付け、立ち上がる。そして立ち向かっていく。

「姉が弟の面倒を見るのは義務?ランドセル背負って下の子の保育園の迎えに来ているのは私だけだった!同級生で弟や妹がいる子で迎えに行っている子なんて一人もいなかったよ!」
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