Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
事件のせいで埋もれてしまっていた記憶が、その言葉で鮮明に蘇る。アノニマスは「童話殺人事件」の犯人像をプロファイルしてくれていた。

「そういえば、尾崎千秋のせいで聞けていなかったな。ぜひ教えてほしい」

紫月がそう言うと、アノニマスは「後悔しないか?」と声のトーンを落とし、訊ねる。紫月は首を縦に振った。

「ああ。教えてほしい」

「わかった」

アノニマスは覚悟を決めたように息を吐く。そして紫月を真っ直ぐ見据えて口を開いた。

「一連の事件にはーーー」

紫月はゴクリと唾を飲み込む。これがきっと犯人逮捕の一歩に大きく近付く。そう確信していた。

「警察官が関わっている」










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