Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
(捜査の進展はあまりよくはないな)

画面を見つめながら、紫月はピリピリと張り詰めた様子の捜査一課の様子を思い出した。捜査一課が連続女性失踪事件として捜査に当たっているものの、手がかりはほとんど見つかっていないようだ。

過去に起こった事件で、シリアルキラーが女性をターゲットとし、何人もの女性が失踪するケースがあった。しかしその場合、失踪した女性には「ロングヘアー」や「青い目」など必ず同じ共通点があることが多い。しかしこの失踪事件ではそういった共通点がないのだ。

紫月はコーヒーを胃に流し込む。暑いせいか食欲が湧かない。その時、電話がかかってきた。蓮からである。

『太宰さん、おはようございます!起きてますか!?』

「夏目、起きているから電話に出てるんだ。おはよう。何の用だ?」

『実は、僕の近所で女性が亡くなったんです。今その現場で調べている最中でーーー』

「どの辺りだ?すぐに向かう!」
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