Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
マンションは空に届いてしまいそうなほど高い。タワーマンションと呼んでも過言ではないだろう。それを見上げた時、紫月が真っ先に思ったのは「城」だった。
経済力に優れた人生の勝ち組と呼ばれる者たちだけが住むことを許された城。そんな城の前には規制線が貼られ、野次馬が集まっている。パトカーが何台も止まっていた。
「夏目、いつまでボサッとしてるんだ。さっさと行くぞ」
「太宰さん、すみません。自分たちのお給料じゃこんなところには住めないなと思ったらつい見上げちゃいました」
ヘラリと笑った蓮を連れて紫月は規制線へと近付く。警察官に警察手帳を見せた後、二人はマンションの中へと足を踏み入れた。
「太宰と夏目じゃないか。どうしてこんなところにいるんだ?」
そう声をかけたのは修二だった。紫月はすぐに姿勢をただし、修二を真っ直ぐに見つめる。修二は事件現場に来たことを咎めている目ではなかった。それに安堵しつつ、紫月は口を開く。
「事件の捜査に来ました。「未解決捜査課」の人間は捜査をしてはいけないとは一度も言われていませんので」
「太宰さんと一緒に早く捜査一課に戻りたくて、ここに来ました!」
経済力に優れた人生の勝ち組と呼ばれる者たちだけが住むことを許された城。そんな城の前には規制線が貼られ、野次馬が集まっている。パトカーが何台も止まっていた。
「夏目、いつまでボサッとしてるんだ。さっさと行くぞ」
「太宰さん、すみません。自分たちのお給料じゃこんなところには住めないなと思ったらつい見上げちゃいました」
ヘラリと笑った蓮を連れて紫月は規制線へと近付く。警察官に警察手帳を見せた後、二人はマンションの中へと足を踏み入れた。
「太宰と夏目じゃないか。どうしてこんなところにいるんだ?」
そう声をかけたのは修二だった。紫月はすぐに姿勢をただし、修二を真っ直ぐに見つめる。修二は事件現場に来たことを咎めている目ではなかった。それに安堵しつつ、紫月は口を開く。
「事件の捜査に来ました。「未解決捜査課」の人間は捜査をしてはいけないとは一度も言われていませんので」
「太宰さんと一緒に早く捜査一課に戻りたくて、ここに来ました!」