Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
紫月の幼なじみである幸成、法歯学にも精通している倉橋美月(くらはしみつき)、ムードメーカー的存在の小林隆(こばやしたかし)、監察医になって間もない松原咲良(まつばらさくら)、この法医学教室に顔をたまに出している紫月は全員顔を知っている。しかし、白衣を羽織った監察医たちの中に知らない顔があった。
刈り上げた頭に黒縁の眼鏡をかけ、その分厚いレンズの奥には鋭い目がある男性だった。紫月はすぐに近くにいた隆に訊ねる。
「あの人は誰なんですか?見覚えがないんですが……」
「ああ〜。彼は最近この研究所にバイトで来てる医大生っすよ。ダイ・ハオランって言います。中国出身で日本に留学に来ているんです」
「留学生でしたか。なるほど」
ハオランは真剣な顔で話をする治と凛子をジッと見ている。その目がどこか猛獣のようにギラついているように見え、紫月は不信感を抱いた。
「では、ご遺体の方の確認をお願いしてもよろしいですか?」
「はい」
刈り上げた頭に黒縁の眼鏡をかけ、その分厚いレンズの奥には鋭い目がある男性だった。紫月はすぐに近くにいた隆に訊ねる。
「あの人は誰なんですか?見覚えがないんですが……」
「ああ〜。彼は最近この研究所にバイトで来てる医大生っすよ。ダイ・ハオランって言います。中国出身で日本に留学に来ているんです」
「留学生でしたか。なるほど」
ハオランは真剣な顔で話をする治と凛子をジッと見ている。その目がどこか猛獣のようにギラついているように見え、紫月は不信感を抱いた。
「では、ご遺体の方の確認をお願いしてもよろしいですか?」
「はい」