Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
蓮も姿勢をただして言う。修二は一瞬目を見開いた後、少し微笑んだ。そして「まあお前たちならこれくらいはすると思っていたよ」と言う。

「ついて来い。事件が起きたのは最上階の一室だ」

修二はそう言ってエレベーターのボタンを押す。すぐにエレベーターは一階へと降りてきた。それに乗り込み、三人は最上階へと向かう。

紫月の手が緊張で微かに震え始めた。



最上階のフロアには多くの警察官や鑑識の姿があった。二人は修二について行く。紫月の耳に足音や話し声が飛び込んでくる。普段は静かで過ごしやすいであろうこのマンションは、今喧騒に包まれていた。

「3010号室」。ここが事件現場だ。捜査員が出入りしている。

「この部屋に住んでいた男性が倒れているところを発見された。頭部から出血していて殺害された線が濃い」

部屋に入る前に修二からそう言われ、紫月は拳を握り締める。ここは平穏な住宅街だったはずだ。その平穏が呆気なく壊されてしまった。

(殺しなら必ず犯人を見つけ出してやる……!)
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