Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
(犯行現場である通りには防犯カメラもあった。でも犯人らしき姿はほとんど映っていない。犯人は事前に入念な下調べをしてカメラの完璧な死角を探したのか?)
女性は独身で交際相手もいない。両親も事件前に他界しており、親戚付き合いもほとんどない。血縁者による犯行の線は低いだろう。
紫月が資料を見ながら考え込んでいた時だった。スマホの振動する音で我に帰る。幸成からの電話だった。
「解剖でまた何かわかったのか?」
紫月は特に深く考えることもなく電話に出た。しかし、通話ボタンを押すと幸成の『紫月!大変なんだ!』という焦った声が響く。ここまで彼が慌てているのは珍しい。
「落ち着け。何かわかったのか?」
『違う、そうじゃない!遺体が……早見蘭さんの遺体が盗まれたんだ!!』
紫月の目が大きく見開かれる。遺体が盗まれるなど、聞いたことのない事件だ。紫月は「すぐにそっちに向かう」と短く告げた後に電話を切る。
鞄を手に紫月はドアへと向かう。彼がドアノブに手をかける前にドアは開いた。新聞を手にした紀人がいた。
女性は独身で交際相手もいない。両親も事件前に他界しており、親戚付き合いもほとんどない。血縁者による犯行の線は低いだろう。
紫月が資料を見ながら考え込んでいた時だった。スマホの振動する音で我に帰る。幸成からの電話だった。
「解剖でまた何かわかったのか?」
紫月は特に深く考えることもなく電話に出た。しかし、通話ボタンを押すと幸成の『紫月!大変なんだ!』という焦った声が響く。ここまで彼が慌てているのは珍しい。
「落ち着け。何かわかったのか?」
『違う、そうじゃない!遺体が……早見蘭さんの遺体が盗まれたんだ!!』
紫月の目が大きく見開かれる。遺体が盗まれるなど、聞いたことのない事件だ。紫月は「すぐにそっちに向かう」と短く告げた後に電話を切る。
鞄を手に紫月はドアへと向かう。彼がドアノブに手をかける前にドアは開いた。新聞を手にした紀人がいた。