Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「紫月!」
幸成が紫月の存在に気付き、駆け寄ってくる。刑事の登場に美月と隆と咲良は少し安堵したような顔を見せる。しかしハオランは紫月の顔をチラリと見ると、一瞬顔を強張らせて目を逸らした。
(相変わらず感じの悪い男だ……)
紫月はそう思ったものの、すぐに幸成に「遺体が盗まれた状況を詳しく聞かせてほしい」と頼む。咲良が手を挙げた。
「第一発見者は私です」
咲良が事情を説明する。彼女は朝の七時頃に出勤した。このデスクの置かれた部屋に入ってすぐ、異変に気付いたという。
「この部屋の隣が解剖室になっています。解剖室には遺体を安置するための冷凍庫があります。その冷凍庫が開けっ放しになっていたせいで、ピーピーと音を立てていたんです」
咲良が解剖室に入って冷凍庫を見た時、そこにあるはずの蘭の遺体が消えていたのだという。慌てて彼女は治たちに連絡をし、今に至る。
「本当にどうしたらいいの……」
「遺体が盗まれるなんて事件、日本でこんなこと起こったことあるのか?」
幸成が紫月の存在に気付き、駆け寄ってくる。刑事の登場に美月と隆と咲良は少し安堵したような顔を見せる。しかしハオランは紫月の顔をチラリと見ると、一瞬顔を強張らせて目を逸らした。
(相変わらず感じの悪い男だ……)
紫月はそう思ったものの、すぐに幸成に「遺体が盗まれた状況を詳しく聞かせてほしい」と頼む。咲良が手を挙げた。
「第一発見者は私です」
咲良が事情を説明する。彼女は朝の七時頃に出勤した。このデスクの置かれた部屋に入ってすぐ、異変に気付いたという。
「この部屋の隣が解剖室になっています。解剖室には遺体を安置するための冷凍庫があります。その冷凍庫が開けっ放しになっていたせいで、ピーピーと音を立てていたんです」
咲良が解剖室に入って冷凍庫を見た時、そこにあるはずの蘭の遺体が消えていたのだという。慌てて彼女は治たちに連絡をし、今に至る。
「本当にどうしたらいいの……」
「遺体が盗まれるなんて事件、日本でこんなこと起こったことあるのか?」