Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
美月と隆が困ったように顔を見合わせる。紫月もどうすべきかを顎に手を当てて考えた。謎があまりにも多過ぎる。

(犯人は一体、何の目的で遺体を盗んだんだ?一体どこに遺体を隠した?)

紫月の視界の端にハオランが映った。彼はどこか警戒したような目でこちらを見ている。しばらく考えた末に彼はスマホを取り出し、アノニマスに電話をかけた。



平日のカフェは人の姿はまばらである。紫月はアノニマスが来るのを待った。

「お待たせしました。ブレンドコーヒーとプリンパフェです」

エプロンをつけた店員が紫月の頼んだコーヒーとパフェを運んできた。紫月はお礼を言い、テーブルに置かれたコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れる。

「そんなにミルクや砂糖を入れたら、本来のコーヒーの味はわからんではないか」

呆れたようなため息が聞こえ、紫月は振り返る。コルセットブラウスに艶のある深いブラウンのスカートを履き、緑のリボンのついたヘッドドレスをつけたアノニマスが紫月の座るテーブルの近くに立っていた。
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