Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

強くそう決意し、紫月は蓮と修二と共にリビングへと入る。空気がひんやりとしていた。二十畳以上はあるのではないかと思われるリビングには、高そうな骨董品などが置かれている。窓からは東京のビルの群れが見渡すことができ、夜には美しい夜景を楽しめるのだろう。

そんなリビングには今、一人の男性の遺体が転がっている。バスローブを来た恰幅のいい男性がうつ伏せの状態で倒れていた。男性の頭部からは大量の血が流れ、床を汚している。そして遺体のそばには血の付着したトロフィーと大きな魚の死体、そしてガラスが飛び立っていた。

「何で魚まで一緒に死んでるんですか？」

蓮の質問に修二が「ここに水槽があったみたいだ」と棚の上を指差す。そこには大きめの水槽が置くことのできるスペースがあった。

「こんな重いもの、どうして落ちたんでしょうか……」

「犯人と揉み合った時にぶつかって落ちたのかもしれないな」

紫月の呟きに修二がそう答え、三人は遺体の観察を続けていた。その時、「何でお前らがいるんだよ！！」と大声が響く。そこにいたのは優我だった。その後ろには智也もいる。

「お前らは捜査一課の人間じゃねえだろ！」

「そうだそうだ！大人しく未解決事件の資料でも見ていろよ！」

優我と智也は顔を歪め紫月と蓮を馬鹿にする。それに対し、すぐに修司が叱り付けた。