Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
『図書館に足を運んだら、偶然島崎さんに会って意気投合して』

『仲良くお茶中だったんだけど、事件のことで少し気になったことがお互いに見えたから二人で報告ってわけ』

ね〜、と言いながら真夜とアノニマスは顔を見合わせる。紫月は背後から感じる視線たちにゴホンと咳払いを一つした後、「気になったこととは何だ?」と訊ねる。まず最初に真夜が口を開いた。

『法医学研究所に中国出身の人がいるって聞いて、中国でも似たような事件がないか調べたんだよね。そしたら遺体や遺骨が盗まれる事件が多数見つかったよ』

「何だと!?」

紫月だけでなく、紀人たちも声を上げた。日本からそう遠くない場所でいくつも事件が起きていたなど、全く知らなかった。次にアノニマスが口を開く。

『同じく中国の話なんですが、中国には冥婚という文化が存在するそうです。日本の一部地域にも伝わっていて、現代でも行う地域があるんだとか……』

「冥婚?何なのよそれ」

尚美の問いかけにアノニマスは冥婚について説明をしていく。その瞬間、部屋の空気が凍り付いた。
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