Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

再会

アノニマスと真夜からの報告を受けてから数日後、紫月と蓮は修二たち捜査一課と共にとあるアパートを張り込んでいた。蘭の遺体を盗んだ犯人を確保するためである。

捜査一課の人間ではない紫月と蓮が共に行動していることに優我と智也は不満気だったが、修二が近くにいるため何も言えない。紫月たちは無言でアパートの様子を見ていた。

築三十年以上は経っているであろう二階建てのアパートはお世辞にも綺麗とは言い難い。午前四時。アパートのドアが開き、犯人が姿を見せた。修二が真っ先に走り出し、それに紫月たちも続く。

「捜査一課の芥川です。何故警察が来ているか、理由はわかりますか?」

修二が話しかけた犯人ーーーダイ・ハオランの顔は一瞬にして青ざめた。しかし彼の唇は「わかりません」と小さく動く。

「……早見蘭さんの遺体を盗んだ件、そして多くの女性を殺害した件についてです」

修二はそう言った後、一枚の書類をハオランに突き付ける。家宅捜索の令状だ。
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