Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
紫月と蓮が宥め、皐月は何度も大きく息を吐く。そのうちに落ち着きを取り戻したようで、皐月は二人の刑事を見つめた。そして周りに聞かれたくないのか小さな声で言う。
「状況的に先生は殺害されたんですよね?」
「いえ、まだ捜査中でーーー」
紫月の言葉を遮って皐月は「私、犯人に心当たりがあります」と言う。皐月はパトカーの外をチラリと見て「あの人」と指差す。
指の先を紫月が辿ると、マンションの前にいる野次馬の一人が視界に映る。大勢の野次馬の中で彼女は目立っていた。困っている様子で規制線の前に立っている見張りの警察官に話しかけている。
「すごく目立ってますね」
蓮がそう呟いたのも無理はない。彼女はとても目立つ格好をしているためである。人混みの中でもすぐに見つけられる自身が涌くほどだ。
長めの金髪を緩く巻いて赤いリボンのついた黒い帽子を被った十代と見られるその女性は、袖に黒いレースが施され、胸元にも大きな黒いリボンのついた赤いドレスを着ていた。そのスカート部分は大きく膨らんでおり、女性のファッションに疎い紫月でも女性の格好がロリータと呼ばれるものだとわかった。
「状況的に先生は殺害されたんですよね?」
「いえ、まだ捜査中でーーー」
紫月の言葉を遮って皐月は「私、犯人に心当たりがあります」と言う。皐月はパトカーの外をチラリと見て「あの人」と指差す。
指の先を紫月が辿ると、マンションの前にいる野次馬の一人が視界に映る。大勢の野次馬の中で彼女は目立っていた。困っている様子で規制線の前に立っている見張りの警察官に話しかけている。
「すごく目立ってますね」
蓮がそう呟いたのも無理はない。彼女はとても目立つ格好をしているためである。人混みの中でもすぐに見つけられる自身が涌くほどだ。
長めの金髪を緩く巻いて赤いリボンのついた黒い帽子を被った十代と見られるその女性は、袖に黒いレースが施され、胸元にも大きな黒いリボンのついた赤いドレスを着ていた。そのスカート部分は大きく膨らんでおり、女性のファッションに疎い紫月でも女性の格好がロリータと呼ばれるものだとわかった。