Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
不意に翡翠がマジックミラーの方を向く。翡翠には取り調べの様子を見ている紫月と蓮の姿は見えていないはずだ。しかし、彼女は見えているかのように紫月の方を見ていた。
「この事件は現在だけを見ていては解決しません。過去を見ないと……」
「何ですか急に」
「木の葉を隠すなら森の中ということですよ」
「は?」
智也は訳がわからないという表情をしている。そんな中、翡翠は銀髪のウィッグの先を指で弄び始めた。そんな彼女の姿を見て、紫月はある人物に会うことを決める。
「夏目、横浜には一人で行ってくれ。俺はあいつに会ってくる」
そう早口に言い、紫月は駆け出した。
指定したファミレスに紫月が着くと、すでに相手は窓際の奥の席に座って待っていた。時間帯のせいか店内に人は少なく、すぐにわかる。
髪の一部を紫に染めた小柄な男性はオーバーサイズのパーカーにスキニーパンツを履き、ハンバーグステーキを食べているところだった。
「太宰さん、遅い」
フォークとナイフを置き、男性ーーー島崎真夜(しまざきまや)は唇を尖らせる。紫月は「これでも急いで来たんだ」と言いながら座り、店員にココアを注文した。
「この事件は現在だけを見ていては解決しません。過去を見ないと……」
「何ですか急に」
「木の葉を隠すなら森の中ということですよ」
「は?」
智也は訳がわからないという表情をしている。そんな中、翡翠は銀髪のウィッグの先を指で弄び始めた。そんな彼女の姿を見て、紫月はある人物に会うことを決める。
「夏目、横浜には一人で行ってくれ。俺はあいつに会ってくる」
そう早口に言い、紫月は駆け出した。
指定したファミレスに紫月が着くと、すでに相手は窓際の奥の席に座って待っていた。時間帯のせいか店内に人は少なく、すぐにわかる。
髪の一部を紫に染めた小柄な男性はオーバーサイズのパーカーにスキニーパンツを履き、ハンバーグステーキを食べているところだった。
「太宰さん、遅い」
フォークとナイフを置き、男性ーーー島崎真夜(しまざきまや)は唇を尖らせる。紫月は「これでも急いで来たんだ」と言いながら座り、店員にココアを注文した。