Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
「よし!まずは三人のSNS特定できたよ〜」

真夜はそう言い、パソコンの画面を紫月に見せる。容疑者として取り調べを受けている翡翠のSNSの投稿はほとんど自身の書籍の発売のこと、もしくは読んだ本の感想など投稿は多くなかったものの、慎吾の投稿を見て真夜は大きく息を吐いた。

「すごいよね〜、このおっさん。自慢かよって投稿ばっかなんだけど。でもセレブって言うよりは成金臭がプンプンするね」

「……まあ、SNSなんて承認欲求を満たすために存在するんだろう」

そう言う紫月の目に慎吾の投稿が並んでいく。高級外車を何台も乗り回し、著名人とパーティーをし、軽井沢にある別荘や高級ワインなど、華やかなセレブのような生活がそこにはあった。時々投稿された写真には担当編集者である皐月の姿もある。

皐月のSNSの投稿は、アクセサリーに関するものが多かった。買ったアクセサリーや自作したアクセサリーの写真が投稿されている。その中にはガラス製のものもいくつかあった。

『先生の原稿を取りに行く時、頑張る時にはこれ!』

その文章と共に上げられた写真には、羽をモチーフにしたガラス製のブレスレットだった。写真に映る彼女は眼鏡をかけておらず、花が咲いたような笑顔をしている。
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