Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

黒い秘密

条野慎吾が亡くなった部屋で、紫月は目の前の人物を感情のない瞳で見た。目の前の人物はゴクリと大きく喉を動かし、緊張した様子を見せる。

広く高級な調度品に囲まれた部屋には、紫月と呼び出された人物、そして修二と蓮の姿があった。

「あなたが条野さんを殺害したんです。樋口皐月さん」

「いきなり呼び出されたと思ったら何なんですか！？犯人は泉先生でしょ！！」

皐月は今にも倒れてしまいそうなほど体を震わせ、真っ青な顔をしながら言う。紫月は皐月のそんな表情をしても表情を変えることなく、淡々と説明を始めた。

「あなた、いつから眼鏡をかけるようになったんですか？」

「えっ？私は元々眼鏡をかけていますよ」

皐月は動揺した様子でかけられた眼鏡に触れる。蓮がSNSの写真を見せた。

「おかしいですね。あなたの過去の投稿には眼鏡をかけている写真なんて一枚もありませんよ」

「あなたが通っている眼科に確認しました。あなたは四月三日に眼科を訪れていますね。そしてその時に眼球が傷付いているからコンタクトはしばらくしないようにと言われた」

修二がそう言うと、皐月は焦ったように「眼球が傷付いたから何なんですか！？事件と何か関係があると言うんですか！？」と言う。それに対し、紫月は静かに言った。
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