Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
幸せな一日が一瞬にして悪魔に変わってしまった。紫月が被害者を不憫に思いながら現場に入ろうとすると、「何でお前がここにいるんだよ!」と怒鳴られる。そこにいたのは優我だった。その後ろには迷惑そうな顔で智也がこちらを見ている。

「俺たちは捜査一課に戻りたい。そのためには今起きている事件にも向き合わないといけないんだ」

「勝手なことを……!」

淡々と言った紫月とは真逆に、優我は怒りで顔を赤くし、再び怒鳴り出してしまいそうな雰囲気だ。その時、「こんなところで立ち止まるな!」と鋭い声が飛んできた。紫月の口角が上がる。

「芥川さん!」

「何だお前ら。また来たのか」

「芥川さんとまた捜査したいですから」

「フッ。可愛いことを言うじゃないか」

修二は薄く笑った後、この式場で何があったのかを教えてくれた。挙式場で新郎新婦が神父の誓いの言葉を聴いている時だった。新郎が突然苦しみだし、倒れたのだという。その場で死亡が確認された。

「なるほど……」

「関係者には披露宴会場に集まってもらっている」
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