Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜
『森社長、圭太郎さん、町の人に非常に慕われていますね』

『いやぁ、嬉しい言葉ばかりですね』

和也が笑いながら頭をかき、圭太郎は『町の力になれてよかったです』と笑顔で話す。アナウンサーが質問をし、それに二人がしばらく答えていく。やがて番組が終わった。パソコンを自分の方に向けながら真夜が言う。

「この櫛木って人、まだ町長らしいよ。話聞いてみたら?」

「ああ」

「これからどうするの?」

「森氏の家に行って使用人から話を聞くつもりだ。使用人しか知らない家の事情が見えてくるかもしれないからな」

「ふーん。まあ、また協力が必要になったら連絡してよ。ハッキングでも何でもするからさ」

「ああ。……おい、行くぞ!」

未だに固まっている蓮の肩を乱暴に揺さぶり、紫月はファミレスを出た。














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