幼なじみって、言わないで!



少し沈黙が生まれた。
でも、早瀬はすぐにまた話し出す。


『祐奈に限ってない、と思いたいけどね。今日祐奈金欠とか言ってたから、もし誰かと出かけてるなら学校周辺じゃないかな。電車とか乗ってないだろうし』


「学校周辺って、」
『新しく出来たカフェは?オープン記念で金額も優しいし、可能性はあるよ』


聞いた瞬間、走り出した。
家を飛び出して、鍵をかける動作が鬱陶しくて、すぐにカフェの方へ向かう。


「はっ、はっ……」
『見つけたら教えてね』


そう聞こえて、電話は切れた。
ポケットにスマホを突っ込んで、全力で走る。


たまに歩いてる制服姿の女子がいると、目を凝らして。
でも、目を凝らさずとも、ゆうは分かる。


だって、大好きだから。


遠く離れてても、群衆の中に紛れてても、すぐに見つけれる。
ゆう。


ゆうな。

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