【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
もう一人の存在
1.何度でも、飽きるほど聞かせて。
バレンタインが過ぎると、ホワイトデーがやってくる。
洋菓子店にとって冬場は、イベントにかこつけての稼ぎ時だ。
「舞さん。この、リボンくるくる~ってするの、どうやるんですか?」
「ああ、これね。
……ハサミを使って、こうやって……しごいてやるの」
バレンタインは、主にチョコレートだけを延々包装していれば良いだけなので、比較的ラッピングに関しては、楽ができるのだけど。
ホワイトデーは極端な話をすると、バームクーヘン一個を包装してくれ、なんて時もあり……ラッピングは嫌いじゃないけど、手をかけた割りには、売上につながらないのだ。
「なんか、あんまり可愛くクルクルしてくれないですよ……?」
多香ちゃんの情けない声に、私はちょっと笑った。
多香ちゃんが奮闘中のギフトボックスに手を伸ばす。
「ここ。リボンの結び目に近いところからハサミを使うと、いいよ」
「───……ホントだ! 可愛くなった~……って、あれ?」
小柄な多香ちゃんは、バンザイでもするように背伸びをして、ようやく陳列棚の中段に手が届く。
視線の先に何を見つけたのか、そのままの姿勢でかかとを下ろした。
「あそこにいるの……舞さんのカレシくん、ですよね?」
多香ちゃんの言葉に、私は顔を上げた。
洋菓子店にとって冬場は、イベントにかこつけての稼ぎ時だ。
「舞さん。この、リボンくるくる~ってするの、どうやるんですか?」
「ああ、これね。
……ハサミを使って、こうやって……しごいてやるの」
バレンタインは、主にチョコレートだけを延々包装していれば良いだけなので、比較的ラッピングに関しては、楽ができるのだけど。
ホワイトデーは極端な話をすると、バームクーヘン一個を包装してくれ、なんて時もあり……ラッピングは嫌いじゃないけど、手をかけた割りには、売上につながらないのだ。
「なんか、あんまり可愛くクルクルしてくれないですよ……?」
多香ちゃんの情けない声に、私はちょっと笑った。
多香ちゃんが奮闘中のギフトボックスに手を伸ばす。
「ここ。リボンの結び目に近いところからハサミを使うと、いいよ」
「───……ホントだ! 可愛くなった~……って、あれ?」
小柄な多香ちゃんは、バンザイでもするように背伸びをして、ようやく陳列棚の中段に手が届く。
視線の先に何を見つけたのか、そのままの姿勢でかかとを下ろした。
「あそこにいるの……舞さんのカレシくん、ですよね?」
多香ちゃんの言葉に、私は顔を上げた。
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