【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
「……悪い。あいつが、あんまりにもガード堅くて、あんたのこと紹介してくれないもんだから、つい……」

ふう、と息をついて、男が私を正面から見据えた。
短い髪の毛先だけ遊ばせた髪をかきあげて、笑う。

神林(かんばやし)(とおる)。……トオルでいいですよ、オネーサン?」

いたずらっぽくゆるめた口元はどこか大地の笑い方に、似ていた。


*****


仕事あがりの早い日は、本屋を待ち合わせ場所にしていた。
神林透と名乗った男と連れ立って行くと、大地はあからさまに嫌な顔をしてみせたのだった。

ところが神林透のほうは悪びれもせず、私と大地をセンターコートの片隅のテーブルにつかせた。

大地はふたたび、本屋でした質問を繰り返す。

「……なんで、ここにいるの? しかも、まいさんと一緒だなんて……!」
「あー? 細かいこと気にすんなって。ハゲるぞ。
つか、オレ、腹減ってんだけど。あそこのたこ焼きとあっちのコーヒー、買って来いや。
ついでに、オネーサンとお前の分もな。ほら」

問答無用で目の前に突き付けられた万札を、大地は乱暴につかんだ。

神林透を、キッとにらみつける。
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