【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
拳を上げて肩のあたりを殴りつけてやろうとした私を、大地はひょいとかわした。
「怒らないで。可愛い顔が、台無しだよ?」
「もうっ……。
───じゃあ、帰るわよ。ほら、ふざけてないで車に乗って」
大地の腕を軽くつかみ、助手席のドアを開く。
ところが大地は、そんな私の手をそっと外した。
「大地……?」
いぶかしく思って仰ぎ見た大地の顔から、一瞬だけ表情が、消える。
けれどもすぐに、元通りの微笑を浮かべた。
「ね、少し散歩しない? 桜はまだだけど……気持ちの良い風が吹いているし、陽差しも暖かいしさ」
大地の指が、クリニックの駐車場脇の道路を挟んだ向こう側を、差していた。
私の勤め先であるショッピングセンター付近まで続く自転車道路だった。
川添いのそこは、桜並木にもなっている。
「いいけど……なに、急に」
「……ちょっと、マジ話、したいんだ。家に帰る前に、きちんと話しておきたいと思って」
しぶしぶ承諾すると、大地は言葉の通り、至って真面目な顔で私を見返した。
*****
時折、のんびりとしたスピードで、横を自転車が通り過ぎて行く他は、ひとけのない道路を歩きながら、大地が口を開いた。
「───まいさんから見て僕は……なんの変化も、見られないんだ?」
「……以前の大地……と、同じように……見える、けど……?」
「怒らないで。可愛い顔が、台無しだよ?」
「もうっ……。
───じゃあ、帰るわよ。ほら、ふざけてないで車に乗って」
大地の腕を軽くつかみ、助手席のドアを開く。
ところが大地は、そんな私の手をそっと外した。
「大地……?」
いぶかしく思って仰ぎ見た大地の顔から、一瞬だけ表情が、消える。
けれどもすぐに、元通りの微笑を浮かべた。
「ね、少し散歩しない? 桜はまだだけど……気持ちの良い風が吹いているし、陽差しも暖かいしさ」
大地の指が、クリニックの駐車場脇の道路を挟んだ向こう側を、差していた。
私の勤め先であるショッピングセンター付近まで続く自転車道路だった。
川添いのそこは、桜並木にもなっている。
「いいけど……なに、急に」
「……ちょっと、マジ話、したいんだ。家に帰る前に、きちんと話しておきたいと思って」
しぶしぶ承諾すると、大地は言葉の通り、至って真面目な顔で私を見返した。
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時折、のんびりとしたスピードで、横を自転車が通り過ぎて行く他は、ひとけのない道路を歩きながら、大地が口を開いた。
「───まいさんから見て僕は……なんの変化も、見られないんだ?」
「……以前の大地……と、同じように……見える、けど……?」