【続】ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!
言葉とは裏腹に、どこか満足げな微笑みを浮かべるトオルくんと、パワーウインドウが下ろされ運転席からのぞいた瞳に、なんとなく察しがついた。

「……トオルくんの、彼女?」
「へ? まさか。パシリで足代わりの近所のクソガキだよ」
「……聞こえてんだけど! そのクソガキに欲情したのは、どこのどいつ!?」
「ヤルだけの女は彼女じゃねーとか逆ギレたのは、そっちだろ。ってか、ご近所迷惑だから、怒鳴んなよ」

助手席側に回りこんで、トオルくんは当然のように軽自動車に乗りこんだ。
……なんか、どっちもどっち?

「んじゃ、佐木さん、またな。
……一日だけなら大人しくできるから、結婚式にはちゃんと呼んでくれよなー?」

ひらひらと片手を振るトオルくんの隣で、ハタチ前くらいの勝ち気そうな瞳の女の子が、こちらを見て軽く頭を下げた。

───そうして、あわただしくトオルくんは、帰って行ったのだった。


*****


「……お父さん、自分の部屋で休んでるよ」

例によって酒好きなわりに酒に弱い父さんは、いまごろ高いびきのようだった。

なんだか元気がなさそうな様子で、散らかった食器類を片付ける大地に、後ろから抱きついた。

「まいさん……?」
「……せっかく久しぶりにお兄ちゃんと楽しく飲み食いできたのに、自分がぶち壊しちゃったなとか、反省してる?」
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